大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(う)1037号 判決

被告人 川村清

〔抄 録〕

原審の記録によると、原判決がその理由中証拠の標目として掲げている司法巡査作成の交通事件原票及び道路交通法違反現場見取図については、その各一部につき証拠とすることの同意があって取調がなされ、他の部分は不同意により証拠申請が撤回されていることが認められるが、刑訴法三三五条が有罪の言渡をするに当ってその証拠を示すには、単に証拠の標目を掲げるだけで足りるとしている趣旨に照らすと、右のように一つの証拠の一部分だけを採証した場合でもその証拠の標目だけを挙げれば足り、特に採証部分あるいは除外部分を表示する必要はないものと解すべきであるから、原判決が、証拠の標目として前記事件原票及び現場見取図を掲げるにあたり不同意部分を除く旨の表示をしていないからといって、所論のようにその部分を証拠として本件の犯罪事実を認定しているものとはいえず、むしろ証拠調がなされなかった不同意部分は当然認定の資料とはされていないと理解される。のみならず、右各同意部分と原判決の掲げる他の証拠とを総合すれば、原判示の罪となるべき事実を優に認めることができるのであるから、原判決に所論のような違法はない。論旨は理由がない。

(牧 永井 本郷)

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